放線菌による肺癌術後気管支断端縫合糸膿瘍の1例

• 大内 政嗣

  国立大学法人滋賀医科大学救急集中治療部

• 井上 修平

  独立行政法人国立病院機構東近江総合医療センター呼吸器外科

• 尾崎 良智

  独立行政法人国立病院機構東近江総合医療センター呼吸器外科

• 北村 将司

  独立行政法人国立病院機構東近江総合医療センター呼吸器外科

• 上田 桂子

  独立行政法人国立病院機構東近江総合医療センター呼吸器外科

• 花岡 淳

  国立大学法人滋賀医科大学呼吸器外科

書誌事項

タイトル別名

• A Case of Actinomycosis of the Surgical Suture at the Bronchial Stump After Lobectomy for Lung Cancer

抄録

背景.気管支内の異物による気管支放線菌症は非常に稀な病態である.症例. 77歳,男性.肺癌に対する右下葉切除術後4年7カ月後に咳嗽,喀痰と発熱が出現し, CTで右中葉の浸潤影と気管支断端の腫瘤陰影が認められた.肺葉切除術時には合成非吸収性縫合糸を使用して気管支断端を縫合閉鎖していたが,気管支鏡検査所見では,その縫合糸が気管支断端の内腔に露出し,白苔が付着していた.病理組織学的検査所見から,気管支断端縫合糸を原因とした気管支放線菌症と炎症性ポリープによる閉塞性肺炎と診断した.縫合糸の除去と6カ月の抗菌薬投与で症状は改善し,その後5年間再発を認めず経過した.結論.気管支断端縫合糸への放線菌感染の報告はきわめて稀であるが,本症例では縫合糸の除去と抗菌薬投与で治癒した.気管支断端の縫合や自動縫合器使用後の補強のための縫合においては吸収性材料を,または非吸収性材料を使用する際にはモノフィラメント糸を使用すべきであることを再認識させられた.

収録刊行物

• 気管支学

  気管支学 36 (5), 492-497, 2014

  特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

キーワード

• 放線菌症
• 肺切除術
• 気管支鏡
• 気管支断端
• 縫合材料

詳細情報

• CRID: 1390001204754680704
• NII論文ID: 110009863321
• DOI: 10.18907/jjsre.36.5_492
• ISSN: 21860149
• ISSN: 02872137
• Web Site: https://search.jamas.or.jp/link/ui/2015244916
• 本文言語コード: ja
• データソース種別:
  • JaLC
  • CiNii Articles
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可