地域虚弱高齢者に対する介護予防 : 試行的研究

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  • Preventive Health Care for the Community-Dwelling Frail Elderly : A Pilot Study

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抄録

本研究の目的は地域虚弱高齢者を対象として,健康チェック,グループ回想法,生活体力づくりを中心とした介護予防のための地域ケアプログラムによる介入を実施し,高齢者の生理的,身体的,心理社会的機能に対する効果を検証することである.研究対象は農村1地域在住の65歳以上高齢者のうち,介護保険制度の要介護認定における自立(非該当)認定者であり,かつ本研究で定めた虚弱判定基準(試案)によって同定された虚弱高齢者全数23名中,研究参加に同意した者18名〔男性7名,女性11名;平均年齢(SD)=80.7(5.8)歳〕である.地域ケアプログラムは研究実施地区内公民館を拠点として,研究実施地域の保健婦等を担当者とし,週1回,連続3か月間実施した.結果,1)生理的機能に対する介入の効果では,女性の最大一歩幅について,介入前に比較し,介入後は歩幅が拡大する傾向がみられた.2)身体的機能に対する介入の効果では,集団では男性,女性ともに有意な変化はなかった.しかし,対象や項目では,効果が認められる可能性が示唆された.3)心理社会的機能に対する介入の効果では,男性,女性ともに介入前に比して介入後に主観的幸福感の有意な向上が認められた.以上より,地域虚弱高齢者を対象とする,包括的な地域ケアプログラムは,高齢者の生理的機能,身体的機能および心理社会的機能の維持,改善に対して有効であり,地域虚弱高齢者に対する介護予防にむけての有効な一方策となる可能性が示唆された.さらに今後の介護予防方策の確立にむけての課題として,介護予防対象の特定,プログラム内容の吟味,評価方法の開発が提言された.

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