メトロポリス光輸送法における双方向変異法のための光路サンプリング戦略決定について

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抄録

写実的な画像を生成するための大域照明計算はコンピュータグラフィックスにおいて重要な分野である.近年,マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いた大域照明計算法が活発に研究,開発されている.例えば,マルコフ連鎖モンテカルロ法 (MCMC) を用いるレンダリング手法の一つであるメトロポリス光輸送法 (MLT) はある規則に従って光路を変異させながら,光路空間におけるエネルギーの寄与分布に従うようなマルコフ連鎖を生成する.MCMC を用いるレンダリング手法では,サンプルが次元の境界を超える際に次元間変異が用いられる.例えば,MLT では次元間変異として双方向変異法を用い,光路の長さや構造を変異させる.このような次元間変異手法はしばしばサンプル過程のエルゴード性を保つために用いられ,いくつかの手法にとっては次元間変異は必須である.しかしながら MCMC を用いたレンダリングにおいて,次元間変異の効率を改善するための研究はほとんど試されてこなかった.そこで,本稿では,双方向変異法の効率の改良について考察する.重点的サンプリングに類似した考え方に基づく双方向変異法の効率についての解析から,光路サンプリング戦略の決定を行う分布の制御によって,双方向変異法の採択確率を向上できることが分かる.この解析に基づき,我々は焼きなまし法を用いて採択確率の期待値を最大化することで光路サンプリング戦略の決定分布を効率化する手法を提案する.この手法を用いることにより,双方向変異法の特徴を残しながら高い遷移確率で光路をサンプリングすることができる.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1573387452683437056
  • NII論文ID
    110009877776
  • NII書誌ID
    AN10100541
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • CiNii Articles

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