脂肪乳剤の血管弛緩および収縮機能に対する影響

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  • Effects of fat emulsion on the vascular relaxing and contractile function of rat aorta
  • シボウ ニュウザイ ノ ケツエキ シカン オヨビ シュウシュク キノウ ニ タイスル エイキョウ

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抄録

論文(Article)

【背景・目的】我が国では、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が増加している。脂質異常症の中でも高中性脂肪血症(高TG血症)が内皮機能に与える影響については不明な点が多い。そこで、本研究では高TG条件下でアセチルコリン、ニトロプルシド、フェニレフリン、アンジオテンシンIIによる血管弛緩および収縮反応をラット摘出大動脈標本を用いて測定し、高TG血症が血管平滑筋と内皮機能に与える影響を検討した。 【研究方法】実験は山形大学医学部動物実験指針を遵守して行った。5~6か月齢の雄性 Fischer344ラットから胸部大動脈を摘出し、作製した内皮無傷標本および除去標本をKrebs-Henseleit 液を満たした organ bath に懸垂した。標本をコントロール群とイントラファット処置群に無作為に分け、両群共に1時間安定させてからアセチルコリン、ニトロプルシドによる弛緩反応、フェニレフリンおよびアンジオテンシンⅡに対する収縮反応を測定した。 【結果】内皮無傷標本ではイントラファット処置群のアセチルコリンに対する弛緩反応が減弱した。また、フェニレフリン、アンジオテンシンIIによる血管収縮反応は有意に増強した。一方、内皮除去標本ではニトロプルシド、フェニレフリン、アンジオテンシンIIいずれに対しても血管弛緩および収縮反応に有意差は見られなかった。 【考察】高TG血症は血管内皮機能障害をおこすことでムスカリン受容体を介した弛緩反応の減弱とα1、ATII受容体を介した収縮反応の増強を惹起することが示唆された。

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