再発婦人科悪性腫瘍に対して骨盤除臓術を施行した2例

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タイトル別名
  • Two cases of pelvic exenteration in patients with recurrent gynecologic malignancies
  • サイハツ フジンカ アクセイ シュヨウ ニ タイシテ コツバン ジョゾウジュツ オ シコウ シタ 2レイ

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抄録

論文(Article)

骨盤除臓術(pelvic exenteration, PE)は、再発婦人科悪性腫瘍に対して行われる婦人科手術の中では最も広汎性の高い手術である。PEの手術適応は骨盤内に限局した再発症例が原則であるが、患者のquality of life(QOL)の改善を目的としたPEの手術適応についてはコンセンサスがないのが現状である。今回、骨盤内に限局した再発子宮肉腫と遠隔転移を有する再発腟癌に対して、異なる手術適応にてPEを施行した症例を経験したので報告する。症例1は、子宮平滑筋肉腫ⅠB期、子宮全摘術と両側付属器摘出術後の骨盤内に限局した腫瘤の再々発患者であった。根治性を主な目的として、右尿管の一部と膀胱、S状結腸と直腸を摘出した。腫瘍の浸潤が認められなかった尿道、腟、下部直腸、肛門管、会陰部は温存した。人工肛門を造設し、尿路変更は回腸導管を造設した。術後腸閉塞を発症したが保存療法で軽快、術後28日目に退院した。PE術後32ヶ月経過し再発を認めていない。症例2は、腟癌Ⅲ期、放射線治療後の再発患者であった。腟、尿道、会陰部、直腸に腫瘍の浸潤を認め、直腸腟瘻を形成。肝臓への遠隔転移があり、局所再発病巣に対する手術は生命予後を改善しない可能性が高く人工肛門造設を提案した。しかし、腫瘍の浸潤によるコントロール不良な会陰部の疼痛と直腸腟瘻による会陰部の汚染によるQOLの低下のため、本人は強く局所再発病巣の摘出を希望した。十分なインフォームドコンセントの上、腟、子宮と両側付属器、膀胱、尿道、S状結腸、直腸、肛門挙筋、会陰部を摘出した。人工肛門を造設し、尿路変更は尿管皮膚瘻を造設した。欠損した会陰部は深下腹壁動脈を栄養血管とする腹直筋皮弁を用いて再建した。術後合併症を発症せず、術後38日目に退院した。PE術後29ヶ月経過したが、肝転移巣の増大もなく外来で経過観察中である。

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