ヴァーツヤーヤナ、ウッディヨータカラと世親の『唯識二十論』『倶舎論』(上)

書誌事項

タイトル別名
  • ヴァーツヤーヤナ 、 ウッディヨータカラ ト セイ シン ノ 『 ユイシキ ニジュウロン 』 『 クシャロン 』(ウエ)
  • Nyaya School's Critical Examination of Vasubandhu's Vimsatika Vijnaptimatratasiddhih and Abbidharmakosabhasya

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抄録

ニヤーヤ学派のヴァーツヤーヤナ、ウッディヨータカラは、ニヤーヤスートラ、NS 4-2-23から4-2-34に至る注釈において、世親の『倶舎論』(AKBh.)の全体(avayavin)批判、原子積集説及び『唯識二十論』(Vs)における全体、原子論批判を取り上げ論難することを通じ自学派の哲学の正当性、原子無部分論を提示している。論難の対象とされるものは、特にVs からはその自注も含め十二 に及ぶ。そこには、世親の全体批判、原子の有部分を論拠とすること、唯識派の空の解釈と表象のみ(vijnaptimatra)の理論、夢の中での認識の問題及び行為とその結果(業果)の問題が取り上げられている。これらは、部分とは別な全体(avayavin)を立て、全体すなわちドラヴィヤを始めとする六つの言葉の対象(padartha)の実在を主張するニヤーヤ学説とは、悉く異なり対照的である。換言すれば、世親の学説を論破し原子無部分論を確定しないことには、ニヤーヤ学説の正当性は樹立し得ないことになるのである。また、世親のVsが、その後、ヴァーツヤーヤナ、ウッディヨータカラによりニヤーヤ学説の正当性を主張する上で、どう扱われているかを知ることは唯識思想史上からも看過し得ない。

世親

『唯識二十論』

原子論

ヴァーツヤーヤナ

ウッディヨータカラ

identifier:BR009900007885

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