魏志倭人伝にみえる生食習俗の検討 : 中国古代の礼俗との対比 (清水稔先生 退職記念号)

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タイトル別名
  • ギシ ワジンデン ニ ミエル セイショク シュウゾク ノ ケントウ : チュウゴク コダイ ノ レイ ゾク ト ノ タイヒ
  • Custom to Eat the Raw Food Written in Gishi-Wajin-Den

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抄録

本論では倭人伝にみえる「倭地温暖冬夏食生菜」のうちの「食生菜」について、中国古代およびより通時的には中華社会における礼俗としての食事習俗との対比の観点から言及し、この語句を『三国志』における認識において位置づけることを試みた。経書や史書などにみえる「生菜」とその対照となる「熟菜」「熟食」を含む記述をあげて、『三国志』編纂時点における認識の次元では、礼俗における膾に典型化される生食の食品は羹に代表される熟菜・熟食とともに日常および礼俗における品目と対置させていたと推量した。結論としては、『三国志』では中国古代の礼俗と相対化させて東夷に対する記述がなされており、『三国志』編纂姿勢のなかで東夷における倭人に対する認識を構成する要素として生菜を食すことで礼俗に適わない習俗をもちつつも、礼制に則り豆を用いた倭人の文化に関しての相対的な位置づけがなされていることを示した。

魏志倭人伝

倭人

習俗

生菜

礼俗

identifier:RO000500007892

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