相関と因果(1)「3た」論法をめぐって

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  • Correlation versus Causality ( Part I ) : A criticism of "3-ta logic" or post hoc fallacy as a pseudo-syllogism

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抄録

本稿は,医学・医療の分野でよく用いられる「相関」と「因果」の観方について医学概論・医学哲学の立場からシリーズで考察する試論の第1 稿である.初回は特に,臨床の現場で医療者や患者・家族,あるいは一般市民の間の日常的言説に散見される通俗的因果論法の一つである「3 た論法」に焦点をあてて,相関と因果の観念concept から批判的検討を行なった. 第1 節では,相関と因果の観念について再確認しつつ,「因果」という観念のもたらす「相関」との乖離性や,因果性が従来の決定論的性向から近年で確率論的因果論に変遷しつつある点を指摘した.また,医学と自然科学との相違にも触れ,その違いは「原因」概念の有無によるものである点も強調した.第2 節では,第1 節を受けて,通俗的因果論で散見する「相関関係」即ち「因果関係」とみなしてしまうミスリーディングの陥穽について検討し,事象X から事象Y に至るメカニズムの明示が因果性の証明に重要であることを示唆した.第3 節では,「3た論法」のいくつかの事例の紹介とその因果論的問題点を指摘した.第4 節では,まとめとして「3 た論法」なる因果論の回避の方法を提示した.特にそのためには患者―医療者間の説明モデルの相違を調整する必要があることを示唆した.

相関

因果

原因

医学と科学

「3

た論法」

identifier:HO000900007904

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