重度片麻痺患者における下肢の挙上を用いた寝返り動作練習

  • 富田 駿
    医療法人社団千葉秀心会東船橋病院リハビリテーション科
  • 山﨑 裕司
    高知リハビリテーション学院理学療法学科
  • 加藤 宗規
    了德寺大学健康科学部理学療法学科

書誌事項

タイトル別名
  • Rolling over practice with lower limbs elevation in a severe hemiplegia patient
  • 症例報告 重度片麻痺患者における下肢の挙上を用いた寝返り動作練習
  • ショウレイ ホウコク ジュウド ヘンマヒ カンジャ ニ オケル カシ ノ キョジョウ オ モチイタ ネガエリ ドウサ レンシュウ

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抄録

逆方向連鎖化の技法を用いた寝返り動作練習では,動作の獲得に至らなかった重度片麻痺患者を経験した.この患者に対して,両下腿を台上に挙上することで寝返りの難易度を下げた練習を導入し,その効果について検討した. 介入前には寝返り動作を3段階に分け,肩甲帯及び骨盤帯にクッションを挿入し半側臥位にした状態より寝返り練習を実施した.そして,クッション数を減らしていくことで難易度調整を行った.しかし,失敗を繰り返す結果となった. 今回の介入では,クッションの挿入に加え,両下腿を台上に載せた.これによって下肢重心位置を上げ,寝返りに有利な状態を作り出した.連続して成功するようになれば下肢挙上用の台の高さを下げ,台無しでできた場合にクッション数を減少させた.これによって6日間計23回の寝返り練習によって寝返り動作は自立した.この間の身体機能,他の基本動作能力,日常生活動作の介助量に変化はみられなかった. 以上のことから,通常の逆方向連鎖化の技法では失敗が繰り返される重症片麻痺症例に対しては本介入が有用なものと考えられた.

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