宇宙,地球の構造的階層性 : 複雑系科学としての地質学 その2

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タイトル別名
  • System formation levels in The Universe and The Earth : Geology as a science of complex systems - part 2
  • ウチュウ,チキュウ ノ コウゾウテキ カイソウセイ : フクザツケイ カガク ト シテ ノ チシツガク(ソノ 2)

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抄録

近年,自然をつくる力の種類と作用の仕方の階層毎の違いが注目され,これによって階層や階層がなす構造を定義する考えが出されている.これを狭義の階層,階層構造とする.一方,広義には,形成要因を問うことなく,特徴の違う系が集合していることだけを階層の基準とする.いずれにせよ,階層の認定には,それをつくる系の実体的認定が必要である.階層が発達していることを階層性があると言う.宇宙が生まれ,4つの一次の力がつくられ,相互に作用し,さらに2次〜4次の相互作用が派生するにつれて,その中に自発的に複雑性と階層性が発展した.1次の力の違いによって生まれた諸階層は3つの構造系列をなしている.第1次と第3次の構造系列の形成は表と裏の関係にある.第2次の構造系列は,宇宙が膨張して低温部が生まれる中で創発された諸系からなる.この系列には,細かい粒子部分を除けば,狭義の階層が認められないという意味で,階層性が希薄な部分が大きく複雑に発達している.しかしその中の地球系には階層性が顕著な生物の集団(生物系)がある.地球系ではそれらの系や物質が絡み合い,相互に作用している.地球系とその内部,そして,ヒトが生きる地球環境系(ガイア)は典型的な複雑系である.その内部の階層の系や階層をなさない物質間の相互作用を検証することは,ヒトが自らの生きる方策を探るためにも必須である.

収録刊行物

  • 地球科学

    地球科学 68 (5-6), 173-182, 2014

    地学団体研究会

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