学生寮入寮者の寮内食堂利用頻度と献立嗜好との関連 : K社の学生会館を単位とした生態学的研究

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  • Association of How Often Students Have Meals in a Dining Room of Dormitory Where They Live with What Kind of Menu They Prefer : An Ecologic Study Conducted by Student Dormitories of Company K

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抄録

目的:進学を機に家庭を離れ,食事付き寮で一人暮らしをする学生の,喫食状況と,献立嗜好,満足度との関連を調べ,寮での快適な食生活の一助とする。方法:全国で230件の学生寮を経営するK社の協力を得て,K社が東京都23区内で経営する5つの学生寮に入寮する学生を対象に,朝食及び夕食の喫食頻度,献立嗜好,食事の満足度を,質問紙により調査した。結果:寮内食堂の,朝食をほぼ毎回喫食する割合は,32.4〜78.6%,夕食をほぼ毎回喫食する割合は31.6〜100%と寮により異なっていた。女性専用寮の部屋のタイプ別に比較すると,寮の食事をほぼ毎回喫食する割合は,夕食はC型(風呂・キッチン付)が53.6%でA型(風呂・キッチンなし,共同キッチンなし)31.6%より高く(p<0.05),朝食はC型40.2%,A型63.2%であった(有意差なし)。夕食,朝食とも,嫌いな献立の3位以内に魚料理が,一方,好きな献立は,3位以内に,朝食はうどん,夕食はカレーライス,ハンバーグステーキが入っていた。魚が好きな割合が高い寮は,朝食・夕食いずれも,ほぼ毎回喫食する割合が有意に低いという負の相関が見られた(p<0.05)。麺類が好きな割合が高いほど朝食をほぼ毎日喫食する割合が高い傾向が見られた。喫食割合と寮の食事に満足している割合との間には顕著な関連は見られなかった。考察:寮の食事の献立から魚料理を減らし,朝食に麺類,夕食にカレーライスやハンバーグをより多く取り入れると,喫食頻度は上がる可能性が考えられた。しかしながら,我が国の近年に見られる食生活の粗略化による2型糖尿病,非アルコール性脂肪性肝炎の増加が問題視される状況から,安直に魚料理を減らすよりも,魚料理の調理法を工夫し,野菜との相性の良い献立を増やすことが,食生活に幅を持たせ,より健康的で快適な寮生活を送る助けとなることが示唆された。結論:魚料理が好きな学生ほど寮の食事を喫食しない傾向が観察された。今後は,肉料理と麺類の嗜好状況との関連を調査する必要があると思われた。

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