山形県庄内地域における有機栽培水稲の生育,養分吸収,収量構成要素の特徴

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タイトル別名
  • Characteristics of rice growth, nutrient uptake, and yield in organic versus conventional farming in the Shonai area of Yamagata Prefecture
  • ヤマガタケン ショウナイ チイキ ニ オケル ユウキ サイバイ スイトウ ノ セイイク,ヨウブン キュウシュウ,シュウリョウ コウセイ ヨウソ ノ トクチョウ

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抄録

本研究では,山形県庄内地方における栽培方法や連用年数が異なる有機栽培水田の水稲を調査対象とし,1つの事例的研究として慣行栽培水田の水稲と比較しながら,生育・収量,養分吸収の特徴について検討を行った.得られた結果は以下のとおりである.1)有機栽培では,慣行栽培に比べ,初期生育が遅く,茎数,草丈,乾物重および窒素吸収量などが生育期間を通じて,低く推移する傾向であった.また,有機栽培は慣行栽培に比べ,穂数が少なく,1穂籾数は多いが,m^2当り籾数は少ないため,慣行栽培より低収量となる傾向であった.2)有機栽培では7月上旬にかけ葉色が上昇し,茎数は7月中旬から下旬に最高に達する傾向であった.また,穂揃期以降は一茎乾物重が慣行栽培より重くなる傾向にあった.これらの現象は7月上旬以降のアンモニア態窒素量が有機栽培の方が慣行栽培より高く推移していたことから,地温の上昇による地力および施用有機物由来窒素の無機化が影響したと考えられる.このことは,有機栽培は慣行栽培に比べ生育後半の生長が旺盛であることの一因であると考えられる.3)有機栽培では2010年は2009年に比べ,茎数等の生育量が大きく推移した.この要因として,2010年の6月中旬から成熟期まで平年より高温であったことにより,施肥有機物および地力由来の窒素無機化の促進などによって生育が助長されたことが考えられる.このため,有機栽培は栄養生長期間中の高温による生育促進への影響が慣行栽培より大きい可能性がある.

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