『鼻』『芋粥』 : 弱性への凝視

書誌事項

タイトル別名
  • Fragility of Dream in Hana and Imogayu
  • ハナ イモガユ ジャクセイ エ ノ ギョウシ

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抄録

『鼻』と『芋粥』は相似した作品である。『鼻』の禅智内供は鼻を短くしたいという願いを、『芋粥』の五位は「芋粥に飽かむ」という夢をもつ。両者ともに、形式上その夢が叶うが、叶うことによって夢に欺かれる。夢のパラドックスである。その際、他者の存在が夢の崩壊に加担していることも同一といえる。夢の逆説性・脆弱性と併せて、他者に翻弄されざるをえない人間存在のもろさ、弱性の表出が、両作に共通するモチーフと考える。

収録刊行物

  • 日本文学

    日本文学 46 (12), 54-62, 1997

    日本文学協会

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