3歳児のう蝕の有無とその影響要因の地域格差

  • 石田 直子
    神奈川歯科大学大学院口腔衛生学講座 神奈川歯科大学短期大学部歯科衛生学科
  • 中向井 政子
    神奈川歯科大学大学院口腔衛生学講座 神奈川歯科大学短期大学部歯科衛生学科
  • 石黒 梓
    神奈川歯科大学大学院口腔衛生学講座 鶴見大学短期大学部歯科衛生科
  • 加藤 千鶴子
    神奈川県平塚保健福祉事務所
  • 渡辺 晃子
    神奈川県小田原保健福祉事務所
  • 荒川 浩久
    神奈川歯科大学大学院口腔衛生学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Regional Inequality in the Caries Prevalence and Influencing Factors among Three-year-old Children
  • 3サイジノウ ショク ノ ウム ト ソノ エイキョウ ヨウイン ノ チイキ カクサ

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抄録

<br> 2011年県民歯科保健実態調査のうち,14市に居住する4,047人(男児2,055人,女児1,992人)の3歳児を対象に,う蝕の有無とう蝕に影響を与えると考えられる生活習慣等の要因の地域差の有無と,地域ごとでどの要因がリスク要因になるかを検討した.<br> その結果,14市間にう蝕の地域差が認められた(χ2検定,p<0.001).また,噛みごたえのある食べ物の摂取,テレビやビデオを見ながら食事をする習慣,甘いお菓子の摂取,甘い飲み物の摂取,フッ化物配合歯磨剤の使用にも地域差が認められた.ロジスティック回帰分析の結果,14市全体で有意なオッズ比が得られたう蝕の有無に影響を与えるリスク要因は,性別,出生順位,テレビやビデオを見ながら食事をする習慣,甘いお菓子の摂取,甘い飲み物の摂取,保護者の仕上げみがきであった.市ごとのロジスティック回帰分析からは,9市においてリスク要因として出生順位など有意なオッズ比が得られたが,5市においてリスク要因は検出されなかった.有意差が認められた要因は全体のものとは異なり,市ごとに特徴があった.<br> 今回の研究により神奈川県の14市間にう蝕の地域格差が存在し,そのリスク要因は市別に特徴のあることが示された.しかし,地域差のある生活習慣などの要因の良否の順位がう蝕順位に反映するものではないと考えられた.今後はこれらの要因の背景を分析するとともに,地域の生活者の指導に活用し,3歳児のう蝕地域格差の縮小を目指すべきである.

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