琵琶湖流入河川における河口堆積物の重鉱物分析

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タイトル別名
  • Heavy-mineral assemblages of river mouth sediments around Lake Biwa

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抄録

比重2.85以上の重鉱物組成は,軽鉱物と比べ含有量は少ないものの堆積物の後背地推定に用いることができる.本研究は,琵琶湖流入河川の河口堆積物について,偏光顕微鏡とX線マイクロアナライザによる化学組成分析を併用し,不透明鉱物についても鉱物種を同定した重鉱物分析を行い,それらの結果について後背地の地質分布面積との関連性を明らかにしたものである.琵琶湖周辺には,中〜古生代の丹波帯および白亜紀〜古第三紀の花崗岩類,中新世の海成層(鮎河層群),鮮新世〜更新世の非海成層(古琵琶湖層群),後期更新世〜完新世の沖積層が分布している.分析試料は琵琶湖に流入する17の河川の河口域の堆積物であり,それらを河川の流域に分布する各地質の構成比をもとにGroup1:沖積層および古琵琶湖層群を流域に広く含むグループ,Group2:主に花崗岩が流域に分布するグループ,Group3:丹波帯を流域に広く含むグループの3つのグループに大別し,重鉱物組成との相関を検討した.その結果3つのグループは,それぞれ角閃石・イルメナイト・鉄酸化物の含有率によって特徴づけられ,それぞれの流域に広く分布する地質ともよく関連していることが明らかになった.一方,個々の試料において角閃石,単斜輝石,イルメナイト,鉄酸化物などが特に濃集するケースも見られた.これには,湖底や湖岸,湖の周辺の地形学的特徴や,周辺の卓越季節風および水文学的特徴に起因する固有の湖流向などさまざまな要素が影響していると考えられ,同種の外因は,特に河川〜湖環境において古期堆積物にも作用したであろうが,その影響の内容や程度を評価することは困難であることが示された.

収録刊行物

  • 地球科学

    地球科学 69 (2), 123-137, 2015

    地学団体研究会

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