北海道南西部クッタラカルデラの内部構造

  • 後藤 芳彦
    College of Environmental Technology, Graduate School of Engineering, Muroran Institute of Technology
  • 城森 明
    Neo Science Co. Ltd

書誌事項

タイトル別名
  • Internal Structure of Kuttara Caldera, Hokkaido, Japan

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抄録

北海道南西部に位置するクッタラカルデラは,クッタラ火山の山頂部に形成された径約3kmの小型カルデラである.このカルデラの内部構造を解明するため,CSAMT法による比抵抗構造探査を行った.探査はクッタラカルデラを東西方向に横断する測線上(測線長12km,受信点23箇所)で行い,カルデラ内のクッタラ湖では小型ボートを用いた湖上測定を行った.データ解析は,有限要素法を用いた2次元逆解析を用いた.その結果,深度1000mまでの比抵抗構造が得られた.クッタラカルデラの下には,鉛直方向に伸長する低比抵抗領域(<30Ω・m,深度1000m以上,東西径1300-1500m)が存在し,この領域はカルデラ形成により落ち込んだ溶岩ブロックや火山砕屑物等が熱水変質を受けたものであると推定される.この低比抵抗領域は,クッタラ湖の中心からやや東に位置する湖盆地形の直下にあり,カルデラ陥没は主にこの地点で行われたと考えられる.カルデラの西部は地滑り等により拡大された可能性が高い.クッタラカルデラの内部構造は東西非対称であり,非対称なカルデラ陥没はクッタラ火山の非対称な地質に起因すると考えられる.

収録刊行物

  • 火山

    火山 60 (1), 35-46, 2015

    特定非営利活動法人 日本火山学会

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