EBUS-TBNAが診断に有用であった肺放線菌症の1例

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タイトル別名
  • A Case of Pulmonary Actinomycosis Diagnosed Using Endobronchial Ultrasound-guided Transbronchial Needle Aspiration

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抄録

背景.肺放線菌症の診断には,菌の証明,特徴的な病理所見が必要であるが,従来の経気管支鏡検査による診断率は低い.今回我々は,肺腫瘤影に対して超音波気管支鏡ガイド下針生検(endobronchial ultrasound-guided trans-bronchial needle aspiration : EBUS-TBNA)を施行し,病理組織・細菌学的検査で診断し得た,肺放線菌症の症例を経験したので報告する.症例. 32歳.男性.来院約3か月前より乾性咳嗽が出現し,その2か月後に胸部単純X線にて異常影を指摘された.その後咳嗽が悪化し,他院を受診した際の胸部画像で肺癌が疑われ, 2013年7月当院紹介受診となった.胸部CTでは右上葉S^2から下葉S^6にまたがって辺縁がやや不明瞭な腫瘤性病変を認め,通常の気管支鏡ではアプローチ困難と判断した.同部位に対しコンベックス走査式超音波(convex probe endobronchial ultrasound : CP-EBUS)で経気管支的に病変を描出することができ, EBUS-TBNAを行えた.病理組織において好中球で取り囲まれた比較的大きな細菌塊を認め,形態的には放線菌が疑われたため,細菌学的な確定診断目的にEBUS-TBNAを繰り返し行い, Actinomyces israeliiを証明することができ,肺放線菌症の診断に至った.結論. EBUS-TBNAにより低侵襲下に病巣から検体を採取し,組織培養を行い肺放線菌症を診断することができた. EBUS-TBNAにて肺放線菌症の診断が可能であり,長期抗菌薬治療で改善し得た場合には,外科的切除を要さない可能性がある.

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 37 (1), 63-69, 2015

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

被引用文献 (1)*注記

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