がん患者のケアに生かす心的外傷後成長の視点(心身医学講習会:緩和ケア「がん患者に対する心身医学的アプローチ」(共催:日本サイコオンコロジー学会),2014年,第55回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(千葉))

  • 清水 研
    国立がん研究センター中央病院精神腫瘍科

書誌事項

タイトル別名
  • Posttraumatic Growth in Clinical Practice(Psychosomatic Medicine Training Seminar/Palliative Care "Psychosomatic Approach to Cancer Patients")
  • がん患者のケアに生かす心的外傷後成長の視点
  • ガン カンジャ ノ ケア ニ イカス シンテキ ガイショウ ゴセイチョウ ノ シテン

この論文をさがす

抄録

本稿においては,心身医学講習会で取り上げた内容の中で,「心的外傷後成長」に焦点を当てて解説を行う.がん罹患に伴う精神的苦痛は大きく,うつ病などの病的な状況に陥る患者も少なくない.一方で,がん体験は必ずしも心理的に負の影響をもたらすだけではなく,精神的な成長を実感するなど,肯定的な変化をもたらすことも少なくない.このような外傷的な体験の後の肯定的な変化について,心理学的な手法を用いてまとめられた概念が「心的外傷後成長」である.心的外傷後成長モデルは人が危機的な状況に陥った後の心像の変遷について,わかりやすく示している.心的外傷を負った人のケアを担う医療者は,必然的に無力感に直面することになるわけであるが,心的外傷後成長モデルを知ることはその無力感をもちこたえ,治療者としてあり続けるためのヒントを与えてくれると筆者は感じている.

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 55 (5), 399-404, 2015

    一般社団法人 日本心身医学会

詳細情報

問題の指摘

ページトップへ