吸指癖とう蝕罹患および不正咬合発現との関連

  • 石川 昭
    浜松市健康福祉部健康増進課口腔保健医療センター

書誌事項

タイトル別名
  • Associations among Finger-Sucking Habit and Prevalence Rates of Dental Caries and Malocclusion
  • キュウシヘキトウ ショクリカン オヨビ フセイコウゴウハツゲン ト ノ カンレン

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抄録

 吸指癖がある幼児はう蝕が少ないという報告があるが,う蝕が減少してきている現在においてもその関係が成り立つのか,吸指癖の有無とう蝕罹患および不正咬合発現との関連を再検討し,今後の歯科保健指導を行ううえでの根拠を得ることを目的に研究を行った.対象は,平成19年度から25年度までの7年間における浜松市の3歳児歯科健診を受診した幼児とした.問診項目から吸指癖の有無を確認し,歯科健診の結果からはう蝕の有無および不正咬合の有無をみた.吸指癖の有無別に,う蝕の有無および不正咬合の有無についてクロス集計し,χ2検定を行った.う蝕有病者率は,平成19年度は19.0%であったが,25年度は11.8%に減少した.吸指癖の出現者率と不正咬合の発現者率は,年度による大きな差はなかった.どの年度においても,吸指癖のある子はない子に比べ,う蝕有病者率が低く,その差は1.6%から4.4%の範囲であった.また,どの年度においても,吸指癖のある子はない子に比べ,開咬などの不正咬合が発現する率が高く,その差は9.4%から16.8%の範囲であった.今回の結果から,吸指癖は,う蝕の抑制および不正咬合の発現のどちらにも影響を与えていることが再認識されたが,う蝕有病者率が減少している現在においては,3歳児における吸指癖は,う蝕の抑制に与える影響より,不正咬合の発現に与える影響のほうが相対的に大きくなると推察される.

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