局所麻酔に鎮静薬を併用した気管支鏡検査の有用性と安全性に関する検討

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  • Analysis of the Utility and Safety of Bronchoscopy Performed in Combination with Sedatives and Local Anesthesia

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抄録

背景.鎮静下の気管支鏡検査は患者の苦痛を軽減する利点があるが,気管支擦過・生検時に胸膜痛を訴えているかを確認できない欠点や呼吸抑制のリスクがある.対象と方法.2004年9月から2014年9月までに当院で内視鏡下に気管支擦過または生検を行った症例で,局所麻酔のみを行ったもの(局所麻酔群)と局所麻酔に鎮静薬を併用したもの(鎮静薬併用群)について,有用性と安全性を後方視的に解析した.両群とも4%リドカイン10mlのネブライザー吸入を行い,鎮静薬併用群ではミダゾラムを2.5mg投与して鎮静の深度に応じて2.5mgを追加投与し,鎮静状態を確認後に気管支鏡検査を行った.採取検体に気管支肺胞の情報がみられなかった割合,合併症発生率,5段階に分類した苦痛の程度を2群間で比較した.結果.局所麻酔群が192例,鎮静薬併用群が211例あり,採取検体の精度に群間差はなかった.合併症発生率も群間に差がなく,気胸は局所麻酔群で3例(1.56%),鎮静薬併用群で2例(0.95%),肺炎は局所麻酔群で1例(0.52%),鎮静薬併用群で3例(1.42%)みられた.低血圧が鎮静薬併用群で1例(0.47%)みられた.経皮的酸素飽和度の低下や酸素投与量は局所麻酔群に比して鎮静薬併用群で程度が有意に大きく,患者の苦痛は鎮静薬併用群で有意に少なかった.結語.鎮静薬を併用した気管支鏡検査は呼吸状態の変化を注視する必要があるが,苦痛を軽減するという利点を活かしながら,局所麻酔で実施する場合と同等の精度で検体採取が可能である.

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 37 (3), 273-278, 2015

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

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