<人類学的>映像の生成 : 『Cuba Sentimental』の事例を通じて(<特集>人類学と映像実践の新たな時代に向けて)

書誌事項

タイトル別名
  • On Making Anthropological Films : A Case Study of "Cuba Sentimental"(<Special Theme>Towards a New Age of Anthropology with Visual Practice)
  • 〈人類学的〉映像の生成 : 『Cuba Sentimental』の事例を通じて
  • 〈 ジンルイガクテキ 〉 エイゾウ ノ セイセイ : 『 Cuba Sentimental 』 ノ ジレイ オ ツウジテ

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抄録

本論文の目的は、映像作品『Cuba Sentimental』がどのように着想され、生成し、受けとめられたのか、その具体的な事例を通して、<人類学的>映像が今日、新たな民族誌のあり方として、また、研究成果を共有・議論するための手段として、持ちうる可能性の一端を示すことにある。クリフォードらの『文化を書く』以降、「ライティング・カルチャー・ショック」を受けた人類学者たちは民族誌の書き方に対する大きな転換を迫られた。しかし、その試みはしばしば、結局は別の形で「大きな物語」に則ったものとなり、様々な事例が政治還元論的に援用される事態を招いた。これは、ドキュメンタリー映画が社会変革の道具として用いられた政治主義の傾向と相似している。この傾向に抗するドキュメンタリー制作のあり方は、ライティング・カルチャー・ショック後に現れたポストモダン人類学を乗り越える「人類学の静かな革命」と方向性をともにしている。こうした経緯を踏まえてつくられた『Cuba Sentimental』は、民族誌映画の枠を超えて国内外およびハバナの映画祭でも上映され、様々な反応を呼んだ。本論で、映像作品の生成の過程を描くことによって、映像制作と作品の双方が人類学の営為を豊かにしうることを示したい。

収録刊行物

  • 文化人類学

    文化人類学 80 (1), 20-37, 2015

    日本文化人類学会

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