ハノイ市中心地域の地盤

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タイトル別名
  • Considerations of Holocene Ground and Its Soil Properties in Ha Noi City
  • ハノイシ チュウシン チイキ ノ ジバン

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抄録

ベトナムの首都ハノイ市中心地域は紅河右岸に位置し,完新世の地層が堆積した地盤上に発展した都市である.都市基盤整備需要の増加とともに高層建築物や地下鉄等の建設が計画されている.これらの建設を安全かつ円滑に進めるには,深さ方向の支持層の確認と,水平方向の地層の変化を知ることが大切であり,地層を三次元的に把握ことが重要となる.本研究は,紅河デルタの形成史や紅河流路の変遷などに関する既往研究成果を基に,1990年代に低層建築物基礎設計のために実施された135箇所の地盤調査の報告書を収集分析し,今回,土の種類,色,硬さなどの地層の層相確認のため2本のボーリング試掘調査を行って,地表面から深さ約30mまでの完新統地層について三次元化を図った.その結果,TB層とHH層と呼ばれる完新統が更新統のVP層と呼ばれる地層の上に堆積していること,完新統の三次元化によって中心地域の下に埋没谷が形成されていることを明らかにした.そして収集した土質試験結果から,均等係数が小さい砂が挟在して堆積していること,粘性土層は低〜中位塑性のシルトであり東京の完新統の地盤と比較すると圧縮性は小さいことなどを明らかにした.こうした土の特徴から,掘削や盛土工事の注意点として,1)砂は粒径が単一なため掘削工事中にボイリング破壊の可能性があり,2)粘性土は乱すと沈下やヒービング崩壊の可能性が高いことなどを指摘した.

収録刊行物

  • 地球科学

    地球科学 69 (6), 311-324, 2015

    地学団体研究会

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