食品内に混入した異物の分析

  • 伊藤 修一
    北海道医療大学歯学部口腔機能修復・再建学系う蝕制御治療学分野
  • 池田 和博
    北海道医療大学歯学部生体機能・病態学系高齢者・有病者歯科学分野
  • 川上 智史
    北海道医療大学歯学部口腔機能修復・再建学系高度先進保存学分野
  • 斎藤 隆史
    北海道医療大学歯学部口腔機能修復・再建学系う蝕制御治療学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of Foreign Substances Found in Food
  • ショクヒン ナイ ニ コンニュウ シタ イブツ ノ ブンセキ

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抄録

 食の安全に対する消費者の関心の高まりを反映して,食品に関する苦情件数は高い値を示している.東京都福祉保健局の報告では,平成24年度に寄せられた食品の苦情件数のうち,異物混入が14.0%であった.クレーム処理対策の点からも迅速で精度の高い異物の分析が必要となる.当大学では,某食品メーカーより依頼を受けて,混入した異物の分析を行っているが,特定された異物の種類とその傾向について報告する.平成19年11月より現在まで35件の異物分析を行った.異物の分析方法としては,実体顕微鏡による観察,蛍光X線分析装置を用いての元素分析など用いた.分析の依頼を受けた異物,全35例中34例(97%)が歯科材料の破片であった.最も多かったものが,填塞されたコンポジットレジンおよびコンポジットレジンインレーなどの破片であり(15例),次いでメタルインレー(5例)であった.依頼された異物の大多数が歯科材料で占められ,メーカーに異物混入を訴えた人の多くが早期に歯科治療の必要性があると判断された.これらの事例では,歯科材料が脱離しても,自分自身では認識することができなかったものと思われる.歯科医療従事者が,一般消費者に対して積極的な定期歯科健診や歯科治療の重要性を認識してもらうための啓発活動をすることが必要であると考えられる.

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