初診時めまい問診票の自由記載内容による患者の特性の検討

  • 五島 史行
    独立行政法人国立病院機構東京医療センター耳鼻咽喉科

書誌事項

タイトル別名
  • The Analysis of the Characteristic of the Patient with Dizziness Based on the Medical Interview Sheet
  • ショシンジメマイ モンシンヒョウ ノ ジユウ キサイ ナイヨウ ニ ヨル カンジャ ノ トクセイ ノ ケントウ

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抄録

目的:めまいの診療で重要なことは病歴聴取である.問診に十分時間がとれない場合には,問診票を活用することが多い.問診票には自由記載のものと定量化された質問紙がある.前者の記載事項で患者の特性がわかるかどうかについて検討を行った.方法:当院のめまい初診患者555例を対象とし,初診時にめまい問診票,DHI(Dizziness Handicap Inventory), HADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)を行った.めまい問診票の最後の部分に自由記載欄を設けており,その部分の記載の有無によって2群に分けた(ありがA群,なしがB群).めまいの診断確定後,治療方法として短期入院リハビリテーション治療(リハビリ),外来治療のいずれかをすすめ選択させた.自由記載の有無とめまいの自覚的障害度,抑うつ,不安の程度,最終的に行った治療方法との関係について検討を行った.また,自由記載内容の分類を行った.結果:A,B群でDHIはP(身体),E(感情),F(機能),合計がそれぞれ12.3±7.2, 15.7±9.5, 16.6±10.4, 44.4±24.1点および10.7±7.8, 12.7±9.6, 12.4±10.6, 35.8±24.6点でありA群のほうがB群に比べてめまいの自覚的障害度は高かった(p<0.001).また,HADSはA(不安)は7.5±5.1と6.4±4.6点で(p<0.05), D(抑うつ)は6.2±4.3および5.5±3.9点であり,不安もA群で有意に高かった.入院治療を選択した割合はA群で49.8%,B群で35.6%であり,A群で有意に多かった(p<0.01).結論:問診票の自由記載欄はあくまで患者の意思で記載する部分であるが,患者からの積極的意思表示であり,治療に対して積極的な姿勢の現れである.反面,自覚症状がつらいための不安の表出ともとることができる.自由記載欄の有無により患者特性が異なることが示唆され,それを考慮することによって適切な治療方針の決定が可能になると考えられた.

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 55 (12), 1373-1379, 2015

    一般社団法人 日本心身医学会

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