環境ガバナンスにおける環境正義の問題点――アフリカ系ブラジル人の鉱山コミュニティに対する環境保全と開発支援の事例研究――

書誌事項

タイトル別名
  • Justice and Environmental Governance: A Case Study of an African-Brazilian Mining Community
  • カンキョウ ガバナンス ニ オケル カンキョウ セイギ ノ モンダイテン : アフリカケイ ブラジルジン ノ コウザン コミュニティ ニ タイスル カンキョウ ホゼン ト カイハツ シエン ノ ジレイ ケンキュウ

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抄録

<p>ブラジルでは,植民地時代からの人種差別が,自然資源の再分配や都市計画などの開発パターンに強く影響を与えている。その結果,環境制度と開発制度のすき間に陥り,開発による利益を十分に享受することができない人々が存在している。これを支援しようとするのが,不平等な環境ガバナンスからの脱却を試みるNGOや政府関係者である。だが,本稿が取り上げるアフリカ系ブラジル人コミュニティ(キロンボ)は,NGOや政府関係者による支援の働きかけを退け,環境制度と開発制度のすき間にあえてとどまり続けようとした。本稿では,この理由を,コミュニティの相続地の利用ルールに着目する分析から内在的に明らかにすることを目的とした。</p><p>分析の結果,事例地のコミュニティには,私的所有制度とは異なる土地利用の内部ルールや営みが存在していることが明らかになった。また,そのような内部ルールや営みが,コミュニティの住民のアイデンティティや幸福追求面で重要な機能を果たしており,その結果,コミュニティの外部から環境NGOや行政機関が,私的所有を前提とする環境正義にもとづいた支援策を考案して働きかけをしても,コミュニティがこれに応じようとしなかったことが明らかになった。</p>

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