NBS-1-10 Pico-Band: リストバンド型省エネ個別暖房デバイスの開発 : 温熱感を持続させる温度制御法の提案(NBS-1. 複雑コミュニケーションサイエンス・情報ネットワーク科学 : 学生・若手研究者特集ポスターセッション,シンポジウムセッション)

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抄録

人体を直接冷却・温熱するネックウェアは,気候的快適性を保ちながら省エネ効果が大きく,広く普及することが期待されている.しかしながら,ネックウェアでは手先の冷えの不快感に対応できない問題がある.本研究では,手先の冷えによる不快感を緩和するバンド型デバイスPico-Band(Personal intelligent comfort control Band)を開発し,装着時の身体への影響を検証した.その結果,時間とともに温熱部から腕への熱の流入量が一定の値に落着くとともに,装用者の温度に対する慣れが生じ,温熱感が減少してしまうことが分かった.そこで本稿では,温熱部の温度制御に波状変化をつけ,熱の流入量の落着きを防ぐことで温熱感を持続させられるのではないかという仮説を元に,Pico-Bandに制御アルゴリズムを実装し,その効果を検証した.実験は,被験者の左手首にPico-Bandの温熱部(設定温度:40℃)を接触させ,手首の温熱開始から10分後,装用者がPico-Bandとの接触部に感じている温度についてアナログスケール(-100〜+100)で回答させた.被験者は10人で,従来の温度一定の制御法(通常制御)と,温度を周期的に波状変化させる制御法(波状制御)でそれぞれ行った.その結果,通常制御よりも,波状制御の方が装用者の温熱感が優位に持続することが確認された(1%優位水準).ここから,波状制御の方がより長時間に渡って効果的に温熱感を感じさせることができると言える.また,アンケートの結果から,70%の被験者が「腕が暖められたことで,身体が温まったと感じた」と答えたことから,腕を温めることで,身体が温まっていると錯覚させる効果があることが示唆された.今後は,波状制御の周期を最適化し,装用者の温熱感をより効率的に持続させる制御方法を追及する.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1570572702527298688
  • NII論文ID
    110010038544
  • NII書誌ID
    AN10471452
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • CiNii Articles

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