"Correct Awareness and Firm Belief" (shinchi) in the Saigokanjo jogyo shin'yoho

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  • 『最後灌頂常行心要法』における「信知」

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今日,智積院や東寺観智院,高野山金剛三昧院等に相伝される『最後灌頂常行心要法』(以下『心要法』)は,本文の内容から判断するに,鎌倉時代後期の成立,著者は,醍醐寺三宝院流に縁のある真言密教僧と推定される.醍醐寺につたわる秘義・秘説の集成と目される本書『心要法』の中で繰り返し述べられるのは,真言の修行者が即身成仏を目指す際に,みずからの肉身に対する信心がいかに重要かということである.『心要法』によれば,真言密教が主張する「自身本成之一致」や「自身成仏」の道理にわずかの疑惑もさしはさむことなく,六大,四曼,三密の体相用三大から成る肉身がそのまま仏身と一念でも「信知」したなら,その修行者は,すでに「自証仏」であるという.その際行者が三密行を完遂しているかどうかは,問題にならない.あまたの功徳から構成されるみずからの肉身に対して信知を獲得したなら,その行者のあらゆる三業の所作は,そのまま三密行に転じるからである.『心要法』に明らかにされるこのような信知の詳細を解明することが,本稿の主要な目的である.特に,これまでまったく議論されることのなかった,独特の信知獲得法を闡明するつもりである.『心要法』は,真言行者がみずからの肉身に対して信知を獲得する際に何が必要かに関しても,きわめて明瞭に語る.結論を述べれば,人間の肉身そのものに関する知識,つまり医学の知識,より具体的にいえば,肉身がこの世に誕生するメカニズムを教える胎生学の知識が,上述の信知の獲得に必要と説き示される.

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