日本の大学生におけるアラビア語学習の志向

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  • Orientations among Japanese University Students Learning Arabic (<Special Feature> Teaching and Learning Arabic)
  • Orientations among Japanese University Students Learning Arabic

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抄録

日本における多数の大学で多くの学生がアラビア語を学んでいる。しかし、このアラビア語学習者の特性が十分に把握されているとは言えない。そうした特性の1つを指す概念に、語学学習の理由としての「志向」がある。志向は語学学習分野において非常に多くの注目を集め、研究がなされてきているにもかかわらず、日本のアラビア語学習者の志向に関してはほとんどわかっていない。本研究はこの志向について、質問紙調査から得られたデータの分析によって検討することを目的とした。調査対象者はアラビア語専攻学生261名、非アラビア語専攻学生235名であった。質問項目は、志向に関して21項目、アラビア語学習に関する学習結果(学習動機づけ、学習満足、主観的成果、習得目標、学習不安)16項目を含むものであった。すべての質問項目は7件法によって評定された。志向に関する因子分析から、アラビア語専攻と非アラビア語専攻の両専攻学生に同様の5因子が認められた。この5因子は、これまでの研究にみられる統合的志向、道具的志向、旅行志向、友人志向、知識志向に該当するものであった。また、非アラビア語専攻学生に比べて、アラビア語専攻学生は統合的志向が弱く、道具的志向は強い傾向が認められた。単純相関は概して、志向のほとんどが学習動機づけ、学習満足、習得目標と正の関係を示す一方、主観的成果と学習不安とはあまり関係がみられないことを、両専攻学生に対して示した。回帰分析からも両専攻学生に対して、志向はアラビア語学習結果毎に、部分的に異なる関係をもつことが示された。本研究の結果は、日本の大学のアラビア語学習者がもつ志向における固有の性質をあきらかにするものであった。日本の大学という学習環境における志向のはたらきと、両専攻学生における志向の共通点について考察を行った。

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