天竜川上流域における急峻な3つの小流域の流出特性の違い

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  • Storm-runoff characteristics of the three small steep watersheds, upstream of the Tenryu river
  • テンリュウガワ ジョウリュウイキ ニ オケル キュウシュン ナ 3ツ ノ ショ

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抄録

起伏が大きく、地質の異なる3つの小流域で、流出量、電気伝導度を連続観測した。また、自動採水装置で降雨時の河川水を採取し、水質分析を行った。なお、それぞれの流域の流域面積・起伏比などの地形条件や、植生や斜面物質などの条件はほぼ等しい。1993年の観測の結果、流出率やイベントの減衰の仕方、イベント発生の敏感さなど3流域で異なる結果を得た。中古生層地域のK1流域は、流出率が大きく、減衰が遅い流出が起こる。しかし降雨量が少ないときには流出が起きなかったり、起きても流出率がほとんど0%である。また、1つのイベントに、降雨と同時に発生する極めて小さな1次ピークと、平均9時間程度遅れて発生する大きな2次ピークとが存在する。花崗岩地域のY1流域は、ピーク流量が大きく、かつ減衰が速く、降雨に対して敏感な鋭い流出が発生する。変成岩地域のO1流域は、ピーク流量が小さく、減衰が速く、流出量が小さいという、流出反応が全体的に小さい特性を持つ。ハイドログラフおよび水質の特徴から、これらの流域では、表面流は主な流出成分ではない可能性が高いことが示唆された。したがって、流出特性の違いは、地質の違いによる地中での水の挙動の違いを示唆する。

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