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抄録
医療・福祉において自己決定権は重要であるが, 同時に代行決定の要請をも考慮に入れなければならない。代行決定ルールの構成要素には, ①代行決定がいつ求められるのか, ②判断能力の有無の判定を, いつ, 誰が, どのように行なうのか, ③誰が代行決定者となるのか, ④代行決定者の権限の範囲はどこまでか, ⑤代行決定は何を基準に行なわれるのか, といった諸点が含まれ, これらの論点の背後に, 自己決定権とその対抗原理(生命・健康の保持)との相剋という問題が潜んでいる。このような視点から日本の現行法制を概観すると, 福祉や一般医療で代行決定ルールが過少であるのに対して, 精神医療では過剰であるという事実が浮かびあがる。本稿では, 日本と比較するためにドイツおよびアメリカ合衆国の法制を検討したうえで, 自己決定権に適合的な代行決定ルールのあり方を探った。
収録刊行物
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- 精神科診断学
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精神科診断学 10 (1), 7-22, 1999-03
日本評論社
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050014791010189184
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- NII論文ID
- 120001143954
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- NII書誌ID
- AN10188087
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- IRDB
- CiNii Articles