高体重患者(メタボリック体型)の腹部CTにおける造影効果の検討

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抄録

当院の腹部造影CTでは、体重65kg以上の患者の場合、高濃度造影剤(370mgI/ml)を100ml一定で使用している。しかし、造影効果が弱い症例を経験することがあるため、体格との関係を検討した。対象は腹部造影CTを受けた体重65kg以上の40症例とした。方法は、腹部大動脈の動脈相のCT値(以下腹部大動脈CT値)、及び肝実質の造影前(以下単純)から造影後(以下平衝相)の上昇CT値(以下肝実質上昇CT値)を計測し、身長、体重、腹囲、内臓脂肪面積、循環血液量との相関を調べた。腹部大動脈CT値と身長、肝実質上昇CT値と体重、循環血液量、腹囲にそれぞれ負の相関が認められた。腹部大動脈CT値と身長の多群間検定(Games-Howell)では、175cm以上で有意差が認められた(p<0.05)。高身長になると、造影剤注入部位から心臓の間の静脈内(以下dead apace)に停滞する残存造影剤量が多くなりため、動脈相における腹部大動脈の造影効果が弱くなると考えられる。また、肝実質上昇CT値と体重の多群間検定では、80kg以上で有意差が認められた(p<0.01)。体重と循環血液量は比例するので、循環血液量の増加により造影剤が希釈されるため、肝実質における造影効果が弱くなるのではないかと考えられる。

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