産業構造変化の世界標準パターンと修正ペティ=クラーク法則

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タイトル別名
  • Global Standards Pattern of Industrial Structure Change and Revised Petty−Clark’s Law
  • サンギョウ コウゾウ ヘンカ ノ セカイ ヒョウジュン パターン ト シュウセイ ペティ クラーク ホウソク

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抄録

The first aim of this paper is to express quantitatively the global standards pattern of change in industrial structure, thereby to show Revised Petty−Clark’s law that includes the back ward bending tendency of the second industry, which means that the composition ratio of the second industry changes to decrease from increase at the ratio of about 40%.And the second is to show implications and examples of application of the standards pattern. Then we will be able to attain successfully the first aim and to show the following implications and examples of application. They are ①the standards stages of economic development based on the standards pattern, ②the difference ratio of industrial structure, which means the degree of gap of the pattern of a nation from the standards pattern, and ③the converging tendency of industrial structure.

本稿の目的は,第1に,「産業構造変化の世界標準パターン」を数量的に導出し,それによって「修正ペティ=クラーク法則」を示すことであり,第2に,標準パターンを援用して,標準的経済発展段階を示すとともに,各国の産業構造変化パターンの特徴を把握する方法として,世界標準パターンからの各国パターンの乖離(産業構造乖離率)を求め,さらに,産業構造の収斂傾向を実証的に明らかにすることである。既に経済発展と産業構造の間には各国に共通する一定のパターンが存在することは広く認められている。ここで,経済発展とは,広く深い含意をもたせることは可能であるが,通常は単純に1人当たり所得の増大を意味するものと解され,これを経済発展の指標としている。確かに経済発展をこのように単純に捉えるのは問題がないわけではないが,しかし,経済発展の指標として1つ選ぶとすれば,比較的簡単に観察でき,為替レートによる換算には問題を残しつつも,各国間の比較にも耐え得るものとして,この指標は概ね妥当である。現在,世界の中で観察されている主要な産業構造変化の傾向性は次の4つである。(以下で、「移行する」とは,「相対的に重要度が高まる,あるいは,構成比が高る」ことを意味する。)(1) ペティ=クラーク法則(経済発展につれて,産業構造は1次産業から,2次産業・3次産業へ移行する)(2) ホフマン法則(経済発展につれて,工業内部の産業構造は,軽工業から重化学工業へ移行る)(3)機械工業化(経済発展につれて,重化学工業内部の産業構造は,素材型装置型工業から加工組立型工業へ移行する)(4) サービス経済化(経済発展につれて,産業構造はモノ産業からサービス産業へ移行する)この4つの傾向性のうち最も基本的なものはペティ=クラーク法則である。この傾向性は殆ど例外なしに世界各国で認められており,各国経済発展の段階を知る上で極めて有効である。しかし,それは,多くの場合,就業者数で測って,1次産業の構成比が減少して,2次・3次産業の構成比が増大するという傾向性に各国の間で共通点があることを意味するものであって,その共通の傾向性を数量的に示すものではない。そこで,本稿は,ペティ=クラーク法則「世界標準パターン」として数量的に示すとともに,それを2次産業の「反転傾向」という点で修正しようとするものである。

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