サーモグラフィーによる体表面温度の測定

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  • Evaluation of Body Surface Temperature by Thermography

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抄録

Body Surface Temperature was observed by thermography. The surface temperature of a healthy person's lower limbs, after being cooled in a water bath, increased in parallel with time. Patients with Diabetes Mellitus had different patterns in the rate of increase of the surface temperature. After cold loading, one patient had a 99% recovery ratio of surface temperature, the same level as healthy volunteers (83%, and 88%), as calculated by a picture processing program with the computerized thermotracer. However, the recovery ratio of other patients was poorer, ranging from 56% to under 6% recovery. This measurement of elevation of body temperature is useful for the estimation of peripheral blood flow in patients with lower limbcirculation failure.

健常人並びに糖尿病患者を対象にして下肢の体表面温度を測定した。測定にはサーモグラフィーを用い,得られた画像の数値化にはコンピュータを用いた画像処理システムを利用した。健常人を用いた実験では,20℃の水を用いた冷水負荷を5分間行うことにより,冷水負荷後,下肢の体表面温度は時間とともに上昇して30分後に良好な回復を得ることができた。画像処理により28℃以上の体表面温度を呈した下肢の面積を負荷前と比較したところ,回復率は,2名の健常人についてみるとそれぞれ83%,88%であった。27℃で画像処理を行った場合には回復率は93%となり過大評価される可能性があった。また,29℃で画像処理を行ったところに,逆に,64%となり過少評価される可能性があり,28℃が最も良い条件であった。この様な条件下で,糖尿病患者7名について同様に測定を行ったところ,1名は健常人と同じく99%の良好な回復率を呈した。しかし,他の1名は56%であり,残りの,5名は6%以下であった。この様に,糖尿病患者では,下肢の体表面温度の冷水負荷後の回復率に顕著な差を認めた。この差は,糖尿病患者における,末梢循環障害の程度を反映しているものと考えられた。この様にコンピュータを用いた画像処理システムの応用によりサーモグラフィーの画像は数値化することが出来,測定結果はより客観的に据えることが可能となった。画像処理されたサーモグラフィーは下肢の循環障害を持つ患者の末梢血流量の評価に有用な測定方法であると考えられた。

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