EU東部地域の地域格差問題とその構造

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タイトル別名
  • Regional Disparity Problem and Its Structure in the East Region of EU
  • EU トウブ チイキ ノ チイキ カクサ モンダイ ト ソノ コウゾウ

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抄録

本稿は、EU東部地域の経済格差の現状をEU中心部との比較、また国内における県別の比較を行い、その構造を明らかにするものである。 1997年 7月に欧州委員会は「アジェンダ2000」を発表した。これによって、ポーランドを含む旧東欧 5カ国およびキプロスの先行加盟が準備され始める。こうした動きに並行して、コソヴォ紛争の深刻化などに伴い、EUは「拡大によるEUの安定化」志向を強めることとなる。最終的には、2004年に10ヵ国、2007年に 2ヵ国が新規に加盟した。 EU東方拡大は、全般的にはEUの政治的・経済的安定化に貢献したが、しかしながら、地域経済圏拡大はかならずしもクロスボーダーリージョンの安定化につながっているわけではない。むしろ、EU拡大によって生じた摩擦や対立もある。それは、現在EU内で急速に拡大志向の議論が萎み、「拡大」よりは「深化」に重点を置く議論が中心になりつつあることにも表れている。もちろん、その背景には、「拡大」が経済圏・文明圏として重要な地域をほぼ包括しつつあること、EU周辺の政治的混乱が収まりつつあることなどがあるだろう。しかしその一方で、拡大によって逆に多様性=不安定要素を取り込んでしまい、その対応に多くの労力と資金がつぎ込まれて、拡大のメリットが十分に享受できないという「拡大疲れ」を伴った不満もある。 本稿では、経済格差、経済発達の遅れがどの程度のレベルにあるかを、ポーランドを中心に統計的に整理し、その構造を明らかにすることによって、クロスボーダーリージョン安定化を考える上でのひとつの材料としたい。

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