油症患者の経時的繰り返し測定データの統計学的解析による血清脂質及びリポタンパクと血中PCB濃度の関連

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  • A Longitudinal Analysis on the Association of Serum Lipidsand Lipoproteins Concentrations with Blood Polychlorinated Biphenyls Level in Chronic "Yusho" Patients

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抄録

1986年から2000年までの15年間の全国油症患者追跡検診結果をもとに, 福岡県と長崎県で観察期間中5回以上受診した認定患者について, 経時的に繰り返し測定された血中PCB濃度と総コレステロール, HDL-コレステロール, 及び, 中性脂肪の血清濃度との関連を統計学的に吟味した. 解析には一般化推定方程式(Generalized EstimatingEquation)モデルを用い, 1986年現在の年齢, 受診年度, 飲酒・喫煙習慣, BMI(体重/身長2), 受診地で統計学的に調整した. その結果, 血中PCB濃度が10倍になると血清総コレステロール濃度が男性で18.4mg/dL(95%信頼区間,7.8-29.0,P<0.001), 女性で19.7mg/dL(95%信頼区間,8.3-31.2,P<0.001)上昇し, 血清中性脂肪濃度が男性で43.4%(95%信頼区間,17.5-74.9,P<0.001), 女性で42.8%(95% 信頼区間,25.7-62.1,P<0.001)上昇すると推定された. 血清HDL-コレステロール濃度と血中PCB濃度との問には統計学的に有意な関連は見いだされなかった. 血清総コレステロール濃度の上昇が冠動脈疾患のリスク要因であることは良く知られている. 油症患者に見られる高い血中PCB濃度を考慮すると, 少なくとも一部の油症患者の冠動脈疾患罹患に対して影響が及ぼされている可 能性が示唆された.

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