アトピー素因を伴う脊髄炎(アトピー性脊髄炎)における脊髄前角運動ニューロン障害

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  • Anterior Horn Cell Involvement in Myelitis with Atopic Diathesis (Atopic Myelitis)

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抄録

本研究の目的は,アトピー素因を伴う脊髄炎(アトピー性脊髄炎)における脊髄前角運動ニューロン障害の有無を明らかにすることである.対象は20例のアトピー素因を伴う脊髄炎患者とした.これらの患者において神経学的検査,針筋電図, 脊髄MRI,運動および体性感覚誘発電位検査を行った.明らかな筋萎縮は20例中1例(5%)にのみみられ,他では明らかな下位運動ニューロン障害の所見はなかった.針筋電図では12例(60%)で様々な程度の下位運動ニューロン障害の所見が得られた.線維束性収縮電位,線維性収縮電位,陽性鋭波などのon-goingの脱神経所見は5例で,干渉波形の減少を伴う巨大運動単位電位や多相性運動単位電位などの慢性の神経原性所見は12例でみられた.うち4例では,下位運動ニューロン障害のみられた髄節が脊髄MRIで病巣を認めた髄節以外の部位にあった.2例のon-goingの脱神経所見を呈した患者において血漿交換や免疫グロブリン大量静注療法などの免疫療法を施行したところ,2例とも臨床所見および電気生理学的所見が改善した.以上の結果より,アトピー素因を伴う脊髄炎では様々な程度の主として潜在的な脊髄前角運動ニューロン障害が存在することが明らかとなった.しかも,この下位運動ニューロン障害は免疫療法により可逆性であり,免疫学的機序が関与することが示唆された.

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