文章産出過程における母語使用の分析 : 発話思考法を用いて

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タイトル別名
  • L1 Use in Foreign Language Composing Processes

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抄録

本稿の目的は、日本国外で日本語を学習している上級日本語学習者が丈章を産出していく過程でどのように母語を使用しているのか、そして、その母語使用が産出された文章の質にどのような影響を与えているのかを明らかにすることにある。そのため、オーストラリアの大学に通い英語を母語とする日本語学習者4名を対象に、発話思考法を用いて文章産出過程のデータを集め、そのデータを母語使用の観点から質的に分析した。さらに、書き上げられた文章に対する評価との関係を考察した。第二言語の文章を作り上げていく中で母語を使用することは作文の質を下げる原因になると考えている教師が多いが、今回集められたデータの分析結果は、母語使用が必ずしも作文の質に悪い影響を与えないことを明らかにした。むしろ、母語で文章のプランを立てていた学生は、内容・構成の点で質の高い文章を作り上げていた。また、文法を苦手とする学生は、翻訳によって文章を作り上げ、言語使用の点でより高い評価を得ていた。こうした結果をふまえて、今後の作文指導においては、母語を使用することを否定するのではなく、より効果的に母語を使用する方法が模索、指導されるべきではないだろうか。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1050001339008280704
  • NII論文ID
    120003043397
  • NII書誌ID
    AA11172014
  • HANDLE
    2115/45589
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    departmental bulletin paper
  • データソース種別
    • IRDB
    • CiNii Articles

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