自閉症の病態解明に関する研究の現状について

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タイトル別名
  • Current Research Findings on Autism
  • ジヘイショウ ノ ビョウタイ カイメイ ニ カンスル ケンキュウ ノ ゲンジョウ ニ ツイテ

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抄録

近年、自閉症の病態解明を目的とした神経生理学的研究、神経心理学的研究および脳機能画像研究などの脳の器質的、機能的障害を明らかにする試みと、分子生物学的研究により遺伝的要因を明らかにする試みが数多く報告されている。本論文は、急速に進歩を遂げているこれらの分野の最近の研究動向をとらえ、自閉症の病態との関連について考察することを目的とした。脳障害の部位や神経機構に関する報告では、前頭葉、側頭葉、大脳辺縁系(海馬、扁桃体、帯状回)、小脳、脳幹部などの他、左右脳機能関連の問題、皮質・皮質下系、感覚処理や認知機構などの異常が指摘されている。これらの障害部位と自閉症の臨床症状との関連について、社会性は左前頭連合野・帯状回および扁桃体が関連しており、固執性は右海馬および扁桃体が、また、儀式的・反復的行動には視床が関与していることが指摘されており、注目される。分子生物学的研究ではセロトニン系の関与が示唆されているが、臨床症状との関連も含め今後の検討が望まれる。

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