糖尿病ラットにおける矯正力による歯槽骨改造現象に関する研究

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  • The effects of orthodontic force on alveolar bone remodeling in diabetic rats

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抄録

近年,歯科矯正治療を希望する年齢層が高まっており,生活習慣病を有する年齢層の受診も少なくない.これに伴い糖尿病予備軍に矯正治療を行う機会も増加していると考えられるが,インスリン欠乏や高血糖などの糖尿病の症状が矯正治療に与える影響に関しては不明な点が多い.本研究では,ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラットを用いて2種類の持続力を加え,歯周組織の変化を評価することにより,糖尿病の条件下における適切な矯正力について検討した.実験動物には,10週齢のWistar系雄性ラット20匹を用い,それぞれ非糖尿病群と糖尿病群に分けた.歯の移動にはNiTiコイルスプリングを用い,荷重条件をそれぞれの群で6gと13gの2種に分けた.また,左側に荷重負荷を施し右側は対照とした.4群5匹ずつの上顎切歯を固定源として左側第一臼歯の近心移動を7日間行った.なお,糖尿病群の歯の移動はストレプトゾトシンによる糖尿病誘発から2日後に開始した.実験終了後,上顎骨を切り出し,EDTAによる脱灰後,通法に従いパラフィンに包埋し咬合平面に平行に厚さ5μmの連続切片を作製し,HE染色を施した.第一臼歯の髄床底から根尖側寄り400μmの切片を起点とし,根尖側方向に50μm間隔で,400μm~550μm,650μm~800μmまでの切片8枚を選択し,光学顕微鏡的観察を行った.また,骨リモデリングの定量解析のため,各切片の第一臼歯歯根の歯髄腔の中心点を結んだ5角形を設定した.この5角形から歯根部分を除いた面積を規準とし,中に分布する骨面積の割合を計測し評価対象とした.結果は以下に示す通りである.⑴400μm~550μmの範囲では,糖尿病13g群は,非糖尿病6g群,非糖尿病13g群に対して,糖尿病6g群は非糖尿病6g群に対して骨面積の割合が有意に小さかった.⑵650μm~800μmの範囲では,糖尿病13g群は,非糖尿病6g群,非糖尿病13g群,糖尿病6g群に対して有意に小さかった.以上より,糖尿病患者に対する荷重条件としては弱い力が望ましい可能性がある.

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