急性薬物中毒から敗血症に至り回復期に人工呼吸器離脱困難を来したCritical illness polyneuropathy(CIP)が疑われた1例

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タイトル別名
  • A suspected case of Critical illness polyneurophathy

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抄録

症例は53歳の女性.主訴は意識障害で救急搬送された.既往症に躁鬱病を持ち,自宅に薬包が散在していたことから急性薬物中毒を疑った.病棟入床後に血圧が低下し,循環不全状態に陥り,血液検査で炎症の増悪,凝固系検査異常を呈したので,敗血症,播種性血管内凝固症候群を考慮して治療し,全身状態は軽快した.人工呼吸器を離脱させるために持続鎮静を解除し意識レベルも清明となったが,人工呼吸器ウィーニングにより呼吸状態が安定せず,長期の人工呼吸器管理を余儀なくされた.中枢神経障害を除外する目的で頭部magnetic resonance imagingを撮影したが異常所見を認めなかった.髄液検査では髄液蛋白は上昇しており,血清検査で抗ガングリオシド抗体陰性であった.経過よりギランバレー症候群よりCritical illness poly neuropathy(以下,CIP)が疑われた.CIPは重症疾患の回復期に見られる疾患で,海外での報告例は多いが本邦では報告例が少ない.本邦で確立した診断基準や特異的な治療法はないが,重症疾患を管理する上で念頭に置く必要がある.

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