フエリックス・ガタリにおける記号論の構築 : 『分子革命』の三つの記号系

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タイトル別名
  • Les échafaudages sémiotiques de Félix Guattari (1) : les trois systèmes sémiotiques de La révolution moléculaire
  • フエリックス ガタリ ニ オケル キゴウロン ノ コウチク : ブンシ カクメイ ノ ミッツ ノ キゴウケイ

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抄録

フェリックス・ガタリは政治活動家であり、精神分析家である。本稿では彼のこの二つの側面に一貫性を与えている基礎的な理論として、彼の記号論があることを主張する。彼は『分子革命』(一九七七)において、「記号論の構築」を掲げている。これは彼も従事している精神分析の記号観・言語観を批判する試みであった。ガタリはラカンの精神分析をシニフィアンの記号学と呼び、欲望をコントロールする支配的な記号学として批判する。この批判を通して、ガタリは精神の病や社会現象などの結びつきを思考するために、記号系の三分類を提案する。ひとつ目は、「非記号論的コード化」と呼ばれるもので、DNA の発生論的コードやホルモンの内分泌の調整などを指す。ふたつ目は、「意味作用の記号学」と呼ばれるもので、「象徴的記号学」と「シニフィアンの記号学」に下位区分される。三つ目は、ガタリ記号論の核心に当たる「非シニフィアン的記号論」である。ここで特に重要となってくるのが「ダイアグラム(図表)」の記号機能である。ガタリのいう欲望の生産性を作動させるのがこのダイアグラムの記号機能である。本稿ではさらにこれらの記号系が政治や権力とどのように関わり、それに対してガタリが権力に抵抗するために、どのように記号を実践するのかを見る。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 32 153-171, 2011-03-31

    大阪大学大学院人間科学研究科社会学・人間学・人類学研究室

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390572174758411648
  • NII論文ID
    120004845803
  • NII書誌ID
    AN0020011X
  • DOI
    10.18910/11617
  • HANDLE
    11094/11617
  • ISSN
    02865149
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
    • CiNii Articles

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