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- 遠藤 匡俊
- 岩手大学教育学部地理学研究室
書誌事項
- タイトル別名
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- Residential Stability Time and Blood Kin Relationships among Settlement Dwellers of the Ainu as Hunter-Gatherers in the Mitsuishi District of Hokkaido, Japan, 1864-1869
- 19セイキ チュウキ ノ ヒガシエゾチ ミツイシ バショ ニ オケル アイヌ シュウラク ノ ソンゾク キカン ト ケツエン シンゾク カンケイ
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抄録
定住性が高い狩猟採集社会である1864∼1869(元治元∼明治2)年の東蝦夷地三石場所のアイヌ集落を対象として,定住性の程度と集落の血縁率の関係を分析した。その結果,「集落の存続期間が長くなると血縁率は低くなる」という傾向はとくに認められなかった。また「家の同一集落内滞在期間が長くなると血縁率は低くなる」という傾向もとくに認められなかった。集団の空間的流動性の程度と集落の血縁率の関係を分析した結果,分裂・結合の流動性の程度と集落の血縁率の間にもとくに関係はなかった。これは集団の空間的流動性が,移動する家のみで形成されるのではなく,集落内に定住する家と移動する家の組み合わせで生じており,集団の空間的流動性には血縁共住機能があり集落の血縁率が維持されているためと考えられる。集落の血縁率の変動率(絶対値)は平均24.9%と大きく,その変動は主に集団の空間的流動性に起因していた。多くの場合に集落の血縁率は50%以上に保たれており,血縁率は平均73.6%である。この結果は,三石場所のアイヌ集落においては,移動性(あるいは定住性)の程度に関わりなく,集団の空間的流動性によって集落の血縁率は低下しない可能性,つまり国家という枠組みのなかに組み込まれながらも「血縁から地縁へ」という変化は生じない可能性があることを示唆する。
収録刊行物
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- 季刊地理学
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季刊地理学 63 (2), 85-106, 2012
東北地理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204464316928
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- NII論文ID
- 10029651585
- 120005199319
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- NII書誌ID
- AN10379267
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- ISSN
- 18841252
- 09167889
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- NDL書誌ID
- 11204539
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- NDL
- Crossref
- CiNii Articles
- KAKEN
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可