湖沼など閉鎖性水域における難分解性有機物増加の原因解明に関する研究 Ⅴ. 湖水産植物プランクトン由来のタンパク質様蛍光物質の特性評価

抄録

湖水産の3種類の藻類を培養し、藻類由来のタンパク質様蛍光物質の特性をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE) で解析し、蛍光検出-ゲルクロマトグラフ法及び三次元蛍光光度法(3-DEEM)などの結果と比較した。藻類由来有機物からタンパク質様蛍光物質を濃縮・分離し、SDS-PAGEで分析した。Microcystis由来のタンパク質様蛍光DOMのSDS-PAGEは、17, 37, 50, 75, 150 kDaにバンドが検出され、250 kDaより高分子量の物質も検出され、蛍光検出-ゲルクロマトグラフ法の結果とも一致した。この高分子物質はタンパク質や糖類などが結合した複合物質で、Microcystis aeruginosaの細胞壁を構成するペプチドグリカンではないかと推測される。Staurastrum由来のタンパク質様蛍光DOMは、37と50kDaにバンドが検出された。Cryptomonas由来のタンパク質様蛍光DOMでは、50~150 kDaの間でいくつかのバンドが検出されたが、他の藻類と比較すると弱いバンドだった。Cryptomonas由来のタンパク質様蛍光物質が分解しやすいだけでなく、MicrocystisとStaurastrum由来のタンパク質様蛍光物質が難分解性であるためと推測される。サイズ排除HPLC化学発光窒素検出(HPSEC /CLND)法の結果から、藻類由来のタンパク質様蛍光物質は、有機態窒素(N)を含む物質であることが明らかとなった。

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