原発開放隅角緑内障によるロービジョン患者の体験

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タイトル別名
  • Characteristics of the experiences of primary open-angle glaucoma
  • ゲンパツ カイホウ スミカク リョクナイショウ ニ ヨル ロービジョン カンジャ ノ タイケン
  • ゲンパツ カイホウ グウカク リョクナイショウ ニ ヨル ロービジョン カンジャ ノ タイケン

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抄録

原発開放隅角緑内障によるロービジョン患者の体験について、その疾病像や患者像を明らかにし、今後の看護介入への手かがりを見出すことを目的に、患者2名に半構成的インタビューを行った。録音したインタビュー内容から逐語記録を作成し、質的記述的分析を行なった。2名に共通するロービジョンの体験には、「光の過剰知覚」、「停止した世界」、「欠けた世界」といった、疾患や生体機能に起因すると考えられるカテゴリーとして【視覚を通じて感じる世界】が挙がった。また、【見えない世界と闘う心】、【社会活動からはずれていく感覚】といった、視覚障害の進行とともに生じる感情が挙がった。さらに、【見えない世界への抵抗】については、A氏では[最後の手段としての手術への抵抗]として、現状を認めたくない気持ちが表現されているのに対し、B氏の場合、[健常者と変わらないことをアピール]することとして、障害を受入れ自分ができることを示そうとする気持ちが表現されていた。結果から、ロービジョン患者は、自身の体験している世界を本人が十分説明できず、周囲も理解できにくい状況であり、このことが早期受診や適切な治療・援助につながりにくい状況であることが推測された。今後の看護介入の方向性として、疾患特有の見え方や見えなくなる過程における予防的介入と、視覚障害に伴う生活上の困難に対する対処的介入、慢性疾患患者にみられる心理プロセスをふまえた支援的介入が必要となることが示唆された。

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