PAC療法における消化器症状に対するmetoclopramide, dexamethasone, antihistamine 3剤併用の効果

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  • The Effect of Metoclopramide, Dexamethasone and Antihistamine in the Prevension of PAC Chemotherapy-induced Emesis

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抄録

外来維持強化化学療法としてのPAC療法に伴う消化器症状を抑制するために, プリンペラン, オルガドロン, クロルトリメトンの3剤併用を試み, その制吐効果をrandomized parallel studyにより検討した. 1. 今回使用した制吐剤は, 化学療法当日がプリンペラン(1mg/kg, 2.5時間毎, 4回), オルガドロン(5mg, 2.5時間毎, 4回), クロルトリメトン(10mg, 5時間毎, 2回)であり, 5日間で漸減した. 2. 1回目のPAC療法を施行した場合の制吐剤併用の検討 化学療法当日の悪心の程度は, 制吐剤併用群で改善したが, delayed persistant nauseaは両者ともに同程度認められた. 化学療法当日の嘔吐回数は制吐剤併用群で1.6回, 非併用群で8.9回と著明な改善を認めた. 嘔吐量も同様に前者102mlに対して後者352mlであつた. 3. 2回目以降のPAC療法を施行した場合の制吐剤併用の効果 悪心の程度は1回目にくらべて制吐剤非併用群で遷延し, anticipatory nauseaの影響が考えられた. 嘔吐回数および嘔吐量は制吐剤併用群2.1回, 78mlに対し, 非併用群は7.9回, 341mlであつた. 4. 維持強化化学療法中の社会復帰の状況 制吐剤非併用群では, 化学療法施行1~2週間後に社会復帰の低下を認めたが, 4週間以降では化学療法前と同程度に回復した. 一方, 制吐剤併用群では2週間目に回復徴候を認めた. 以上より, PAC療法に伴うacute drug-induced emesisはプリンペラン, オルガドロン, クロルトリメトンで充分抑制された. PAC療法2回目以降の場合では1回目にくらべてdelayed persistant nausea が遷延した. しかし, 今回検討したPAC療法ではもともとdelayed persistant emesisが著明でなかつたため, この検討は今後の問題である. なお, 制吐剤を併用すればPAC療法2週間で社会復帰は充分可能であるが, 骨髄抑制を考慮し, PAC療法後3週間は安静を保つ必要があると思われる.

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