塩類溶脱によるクイッククレーの生成とイオン組成の関係

  • 安部 宏
    九州大学大学院生物資源環境科学府環境農学専攻生産環境科学教育コース土環境学研究室
  • ヘ パニー
    九州大学大学院生物資源環境科学府(国際開発特別研究コース)環境農学専攻生産環境科学教育コース土環境学研究室
  • 大坪 政美
    九州大学名誉教授
  • 東 孝寛
    九州大学大学院農学研究院環境農学部門生産環境科学講座土環境学研究室
  • 金山 素平
    九州大学大学院農学研究院環境農学部門生産環境科学講座土環境学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Relation between Quick Clay Formation by Salt Leaching and Pore-water Ion Composition
  • エンルイ ヨウ ダツ ニ ヨル クイッククレー ノ セイセイ ト イオン ソセイ ノ カンケイ

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抄録

乱さない有明粘土に人為的に塩類溶脱を施すことにより, クイッククレーが形成されることがこれまで報告されている. しかし, 佐賀県白石町から採取した乱さない有明粘土に塩類溶脱を施したが, クイッククレーは形成されなかった. その原因を明らかにするために粘土の間隙水の化学性を調べた結果, クイッククレーが形成されないのは2価陽イオンが支配的であることが理由であった. そこで, 間隙水の陽イオン組成がクイッククレーの発達を支配していると想定し, 乱さない有明粘土を海水で飽和, その後塩類溶脱を行ったところクイッククレーが形成された. 本報告では, これらの実験結果をもとに, 陽イオン組成がクイッククレー形成にどのように関係しているかを記している. 採取直後の粘土試料の間隙水は78%の2価陽イオンから成り, 試料に塩類溶脱処理を施した後も2価陽イオンの割合はほとんど変わらなかった. そのため塩類溶脱によっても練返し強度はほとんど変化せず, 鋭敏比も変化しなかった. 一方, 海水で飽和した粘土試料の間隙水はナトリウムが支配的であり, 2価陽イオンはわずか6%であり, 塩類溶脱後も3%に維持された. 塩類溶脱により練返し強度は著しく低下し, その結果, 鋭敏比は790~1500まで増加した.

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