肝細胞癌におけるInsulin-like growth factor (IGF-1)発現に関する検討

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  • Differential Expression of Insulin-like Growth Factor 1 in Human Primary Liver Cancer

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抄録

【はじめに】肝細胞癌におけるIGF-1 発現の意義を検討し, IGF-1 が肝細胞癌脱分化にどのように関与しているかを検討した. 【対象および方法】肝細胞癌切除症例28例のホルマリン固定パラフィン包埋標本でIGF-1を免疫染色した. 細胞増殖活性の指標としてはKi-67の発現を検討した. IGF-1は癌部と非癌部の発現を比較して, 非癌部が癌部より過剰に発現したものをA群(n=10), 癌部が非癌部と同等または過剰に発現したものをB群(n=18)とした. Ki-67(細胞増殖活性)はLabeling Index(LI)を用いて判定した. 【結果】IGF-1は非癌部で28例/28例(100%), 肝細胞癌部では26例/28例(93%)で発現を認めた. 癌部が非癌部と同等または過剰発現するB群は18例/28例(64%)であった. 病理組織学的分化度ではIGF-1発現のB群は高分化型肝細胞癌が多く, A 群では低分化型肝細胞癌が有意に多く認めた(p < 0.01). またA群では脈管侵襲(vp)が多く認められた(p < 0.01).しかしながら, 肝内転移(im), 被膜形成(fc), 被膜内浸潤(fc-inf)との相関はなかった. IGF-1とKi-67との間にも相関関係は認めなかった. 【まとめ】肝細胞癌切除例におけるIGF-1の発現は細胞増殖活性との明らかな関係は認められなかったものの, 肝細胞癌の脱分化並びに門脈侵襲に関与していると判明した.

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