肝下部下大静脈併用肝切除においてStroke Volume VariationはCVPと逆相関し出血量の指標となりうる

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  • The Significance of Stroke Volume Variation During Hepatic Resection Under Infrahepatic Inferior Vena Cava and Portal Triad Clamping

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抄録

【はじめに】近年, stroke volume(一回拍出量)は呼吸性変動を受け, この変化量であるstroke volume variation(SVV)がfluid responsiveness(輸液反応性)の指標としてCVP よりも鋭敏であると言われている. 動脈ラインにFloTrack™を接続すればSVV は簡便に測定可能である. また肝切除における下大静脈クランプ(IVCC)は中心静脈圧(CVP)を下げ, 出血コントロールに有用であるとの報告があるが, 中心静脈路の確保が必要となる. 【目的】IVCC 併用肝切除時のSVがCVPの代用となり得るかを検討した. 【対象】平成22年12月から2ヶ月間の肝切除14例(男10例, 女4例, 49〜79歳). 全例ダブルルーメンの中心静脈カテーテルを挿入しCVPを測定, SVVはFloTrack™を用いて測定した. 肝切除はCUSA を用いてIVCC + Pringle法下に行った. 【結果】IVCC にて有意にSVVが上昇したがCVPの有意な低下はみられなかった. Pringleのみでは両者とも変化を認めなかった. 肝切除中, IVCC + Pringle にて有意にCVP 低下, SVV上昇し, Pringle解除にて速やかに前値に戻った. SVVとCVPは有意に逆相関した. 14例の出血量の中央値486g(120〜2214)であり, 出血量が486g以下の症例をA群(n=7), 以上の症例をB群(n=7)とし, A 群ではIVCC 時に有意にCVPが低下し, SVVが上昇していた. SVV18%以上の症例(n=4)では有意に出血量が少なかった. 【結論】SVVはCVPと有意に相関しており, SVV の測定は, IVCC併用肝切除時にはCVPの代用となりうる. またSVV18%以上を目標にしたIHVCC併用肝切除は出血の軽減に寄与すると思われた.

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