口腔内セネストパチーの1例

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抄録

口腔内セネストパチーは,口腔内の異常感を奇妙な表現で執拗に訴える病態で,難治性の疾患とされている.今回,口腔内にさまざまな異物の存在を訴え続けた75歳の女性に対し,心身医学的対応により症状の消失までには至らなかったものの,寛解が得られた症例を経験したので報告する.  主訴は,口の中から砂が出てきて口内全体に張り付くであった.カンジダ除菌後,口内には口腔乾燥以外の異常所見を認めなかったが,以後,「丸い塊」「フイルム」「六神丸」「セロハン」「ブドウ」様の異物が口内に出現すると感じるようになり,それを吐き出さずにはいられず,外出も困難になった.向精神薬や抗うつ薬を投与したが効果なく,精神科に紹介したが具体的な治療は行われなかった.当科での治療を引き続き希望したため,薬物療法は止め,発症の契機が疑われた長男の嫁との不仲を和解させ,好きなパチンコに行けるように生活指導を根気よく行ったことで,異物は完全には消失していないものの,症状は改善した.

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