噴門側胃切除後の縫合不全に対しT-tube留置,肋間筋弁被覆が有効であった一例

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  • T-Tube Drainage and Intercostals Muscle Flap Reinforcement for the Management of Intrathoracic Esophago-Gastric Anastomotic Leakage with Pyothorax : A Case Report

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抄録

【症例】51歳男性.前医にて胃噴門部早期胃癌に対し完全鏡視下噴門側胃切除施行.術後3日目発熱,胸腔ドレーン排液の混濁化,炎症反応上昇あり,縫合不全による縦隔炎・左膿胸の診断で,再手術目的で当科紹介.開胸すると胸腔内全体に混濁した胸水貯留,左肺全面が醸囊胸膜に覆われており,これを剥離し洗浄した.吻合部左側に5mmの穿孔部が2個連続しておりentry holeの縫合不全と考えられた.高度の炎症により周囲の組織は脆弱で縫合閉鎖は不可能であり,T-tube24Frを縫合不全部から挿入し,吻合部に留置した.縫合不全部近傍の組織を可及的に縫合閉鎖した上で,その周囲を覆うように肋間筋弁にて被覆した.左胸腔ドレーンを計4本留置し手術を終えた.術後は長期の集中管理と胸腔ドレーンからの洗浄,入れ替えを必要としたが,徐々に炎症は改善し,当院術後71日目に退院した.【まとめと考察】噴門側胃切除術後縫合不全に対し,T-tube留置と肋間筋弁被覆が有効であった症例を経験した.食道浸潤を伴う胃癌に対する噴門側胃切除後の縫合不全は縦隔炎・農協を来たし致死的になりうる.T-tube留置と肋間筋弁被覆は脆弱化した吻合部を安全に瘻孔化でき,膿胸を合併した縫合不全の治療に有用と考えられた.

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